恋する5秒前~無愛想なキミと~
「気をつけて帰りなさい」
「はい、先生。さようなら」
保健室を出て廊下を歩いていく。私の横には桜井君が私の鞄を肩に担いでいる。
湿布を貼ってくれたおかげか、ちょっとだけ痛みが引いた感じがするのは、気のせい?
昇降口へ着くと
「鞄を持たせちゃってごめんね。あと、その……保健室まで連れてってくれてありがとう」
わざとケガをさせた訳じゃないのにここまでしてくれるなんて、桜井君って思ったよりイイ人なのかも。
人は見かけによらないんだな。
「……家まで送る」
「はい?」
桜井君、いま、なんて言った?
ぼそぼそっと呟くように言うから聞き取れなかったよ。