恋する5秒前~無愛想なキミと~
里美ちゃんは私が香奈達と一緒に花火大会へ行くことを知っている。
申し訳なさそうな顔をして謝る里美ちゃん。
出勤するはずの同僚の人は子供さんが急に熱を出してしまって、他に誰も子供の面倒を見る人がいないから仕事を休みたいと言ってきたらしい。
それで、急きょ里美ちゃんに仕事へ来てくれないかと上司から連絡が入ったと説明してくれたんだ。
そうだよね、子供の具合が悪くなったら仕事を休むしかないよね。
私の小さなワガママを言っても里美ちゃんを困らせるだけ。
「いいよ、未来達も私が花火大会へ連れて行くから心配しないで仕事へ行ってきて!」
家族だもの、こういう時こそ私が協力しなくちゃ!
私の返事を聞いてホッとした様子を見せる里美ちゃん。
「この埋め合わせにケーキバイキングに連れてってあげるから許して」
「うん、絶対だよ」
「大丈夫、ちゃんと覚えてるから」
里美ちゃんは笑いながらリビングを出ていったんだ。
先ずは、最初に香奈へ連絡を取って翔達も連れて行くことを話さなくちゃ!
こういう時はLINEより電話で話した方がいいよね?
私はそう判断すると、テーブルの上に置いたスマホを手に取り、香奈へ電話を掛けた。