恋する5秒前~無愛想なキミと~
けっこう参加するんだ。もっと少ないのかと思ってた。
この子達、連れて来ちゃったけど皆の迷惑にならないかな?
「どうしたの、環。難しい顔をしちゃって」
「えっ?」
「ほら、ここにシワが寄ってる」
私の額に指さして指摘する香奈。
「まさか、こんなに人が来るとは思ってなかったから、この子達を連れて来て迷惑じゃない?」
「迷惑?環、そんな心配してんの?」
「うん」
「バカねぇ、文句を言いそうなヤツは最初から誘ってないから。皆には環が翔達を連れて来ることを言っておいたから、遠慮することないんだからね」
「ありがとう。香奈」
身を乗り出すようにして話す香奈。
そうか、香奈は私が居づらくならないように、皆に話して了解を得てくれてたんだ。
香奈の気づかいに感謝しなくちゃ。
「今朝も言ったでしょ?皆でこの子達の面倒を見ればいいんだから、ね?」
「うん」
スマホの時計を見ると、時間は17時になるところ。
先に男子の何人かが場所取りをしてくれているみたい。
集合時間は17時15分。
皆が集まったら、隣町まで電車で移動する。駅を降りたら河川敷まで歩いて行く予定。
有名な花火大会だから、観客の数も相当になるはず。迷子になったら大変だ!
「未来は私と一緒に手を繋ぐよ。翔は私の側を離れないこと、いいね?」
「分かったよ、姉ちゃん」
「うん、タマちゃん。手を繋ごう」
2人に言い聞かせると素直に頷いた。