恋する5秒前~無愛想なキミと~
香奈に言わなくちゃ!
でも、この人混みの中じゃ香奈を呼んでも聞こえないよね。
そっか、香奈に電話すればいいんだ。
思いついた私は、内心焦りながらもスマホを操作して香奈に電話を掛けた。
すると2、3回呼び出し音が鳴った後、香奈が出てくれた。
「環、どうしたの?」
「あ、あのね。翔と未来がいなくなっちゃったの」
「ええっ!マジでぇっ?」
「さっきまで一緒に歩いてたのに、いつの間にかいないんだよ、どうしよう?」
今まであの子達と一緒に出かけてきたけれど、まさか迷子になるなんて、初めてだよ。
こんなに人で溢れている中、あの子達を見つけることができるかな?
ふと頭に浮かんだ光景。
未来を抱っこして頬ずりをする里美ちゃん。未来は私の大事な宝物だよ……と言ってたっけ。
もしも、あの子達になにかあったら……里美ちゃんに合わせる顔がないよ。
「ねぇ、香奈。あの子達になにかあったら、私……」
最悪な事態を考えてしまい青ざめる私。
「落ち着いて、環。皆で手分けして捜そう、あんたのところへ行くから、動かないでそこで待ってて!」
「うん」
電話を切ると直ぐに香奈がやって来た。