恋する5秒前~無愛想なキミと~
「環、皆で捜そう!未来と翔はどんな服を着てた?」
2人の顔が分かるのは私と香奈だけ。
クラスの皆には翔と未来の見た目の特徴を伝えたんだ。
翔はベージュのハーフパンツに紺地に白の横縞が入ったTシャツ姿に白のスニーカー。
未来は白地にピンクや赤色の蝶々が描かれた浴衣姿。足元は歩きやすいようにピンクのスニーカーを履かせていて、髪形はお団子にして花のかんざしを付けている。
ざっと説明すると2、3人ずつに分かれて捜すことになった。
もしかしたら今来た道を戻っているかも。
「私、駅まで戻ってみるから」
香奈に伝えると
「じゃあ、私は席に戻って皆からの連絡を待っているから、何かあったら直ぐに教えて!」
「うんっ!」
花火大会が始まるまで後一時間。
それまでにあの子達を見つけなくちゃ!
せっかくの花火大会なのに、迷子捜しで終わらせるわけにはいかないよ。
早く、早く見つけなくちゃ!
ータマちゃ~ん!どこ?ー
ー姉ちゃ~ん!ー
2人の泣き顔が目に浮かんでくる。
あの子達も私とはぐれて困っているかも。
人混みの間を何とかすり抜けながら駅まで続く道を戻っていく。
夢中で走っていたら思いきり何かに当たって私の体が弾き飛ばされてしまった。
「痛ったぁーい」
思いきり尻もちをついてしまい、しばらくの間立ち上がれないでいると頭上から
「おい、大丈夫か?」
低く響く声が聞こえてきた。