恋する5秒前~無愛想なキミと~
「頼むって、隼人。用が終わったら戻ってくるんだろ?」
桜井君に言われて、うろたえる賢司君。
「それはわかんねーな、せっかく来たんだから、お前は樹里と二人で花火を観ろよ。終わったら樹里のこと、ちゃんと家まで送ってくれよ」
「お、おう。分かった約束する」
「隼人、行っちゃうの?」
樹里さんが桜井君のTシャツの裾を掴んで困ったような顔をしている。
「樹里、賢司とはぐれるなよ」
「うん」
桜井君は樹里さんに笑顔を見せると
「水野、行くぞ」
私の腕を引っぱりながら、人混みの中をかき分けるようにして歩きだした。
「あ、あの桜井君!」
ざわざわと騒がしい中をくぐり抜けて歩く私達。
「樹里さん達と一緒じゃなくて、良かったの?」
二人の噂話を聞いていた私は桜井君に訪ねてみた。
するとーー。