恋する5秒前~無愛想なキミと~

「良かったな、お前等。もう勝手にいなくなるなよ」


私達のやり取りを見守っていた桜井君が2人の頭を撫でた。すると


「桜井のお兄ちゃんだ!」


「あれ?お兄ちゃん、なんでいるの?」


桜井君を見て驚く2人。


特に未来は大喜びして桜井君に抱きついた。


「お兄ちゃん、未来と一緒に花火を見ようよ!」


「俺も!お兄ちゃんと一緒に見たい」


桜井君の両脇に座る2人。


その光景を呆気に取られた表情で眺める香奈とクラスの皆。


「やだぁ、あの桜井君が子供になつかれてる」


「なんか、スゴいレアな一面だよね。子供が好きなのかな?」


彼の意外な一面を見て興奮ぎみに話す女子達。


彼女達の声をやきもきしながら聞いていると、スマホからLINEの通知を知らせる音が鳴り出した。


「今、駅に着いたから一緒に花火を見よう」


瀬戸君からのLINEだ。


そうだった、私は瀬戸君の彼女なんだ。今更、気づく現実に胸がギュッと締めつけられる。


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