恋する5秒前~無愛想なキミと~
私と一緒に花火を見たいと言ってくれてたから、きっと親戚の家から急いで来てくれたんだね。
桜井君の様子を伺うと、未来や翔と一緒に楽しそうにしている。
早く返事をしないと瀬戸君が困るよね。
「駅を出て河川敷まで歩いて来て」
瀬戸君にLINEで返事をしていると
「水野、なんかあったのか?」
桜井君が私の様子を気にして訪ねてきたんだ。
「あ、うん。ちょっと……ね。大したことないから心配しなくても大丈夫だから」
しどろもどろな受け答えをして愛想笑いをする私。
「そっか」
そんな私をジッと見つめていた桜井君はひと言言うと前を向いてしまった。
瀬戸君、この場所分かるかな?彼も地元だから分かると思うんだけどな。
彼から連絡があってから10分もしないうちに
「水野さん」
瀬戸君がやって来たんだ。
「あれ?桜井……なんでいるんだよ?」
瀬戸君は未来達と一緒にいる桜井君を見つけると小さな声で呟いた。
彼に気づいた桜井君も、怪訝そうな顔をして彼を見ていた。
やっぱり、この2人は仲が悪いのかな?
あまり友好的ではない雰囲気をお互いに醸し出していた。