恋する5秒前~無愛想なキミと~
この2人、大丈夫かなぁ?何も起きなきゃいいけど。
不安な気持ちで2人の様子を伺っていたら、
ーーパーン!!
ーーパーン!!
上空から大きな破裂音が響いてきた。花火大会の始まりだ。
「ワアッ、お兄ちゃん花火が上がったよぉ」
「あぁ、始まったな」
次々と打ち上がる花火を見て興奮気味に桜井君と話す未来と翔。
周りの様子を見ると、香奈も真央ちゃんや河野君と一緒に花火を見つめている。
クラスの人達も夜空に輝く花火を騒ぎながら楽しそうに見ている。
「花火、始まったね」
横に座る瀬戸君が私に話し掛けてきた。
「うん、始まったね」
「俺、水野さんと一緒に花火を見たかったから、すげぇ嬉しい」
「私も」
そう言ってニッコリ微笑む瀬戸君。
瀬戸君の王子様スマイルに、私もつられて笑顔を見せた。
視線を前に戻すと桜井君の後ろ姿が目に入った。
桜井君は今、どんな気持ちでこの花火を見ているの?
お互いに付き合ってる人がいるのに、どうして私の為にここまでしてくれるの?
ねぇ、桜井君。私のことをどう思っているの?
知りたいよ、桜井君がどう思っているのか、そうすれば私だって……。