恋する5秒前~無愛想なキミと~

この2人、大丈夫かなぁ?何も起きなきゃいいけど。


不安な気持ちで2人の様子を伺っていたら、


ーーパーン!!


ーーパーン!!


上空から大きな破裂音が響いてきた。花火大会の始まりだ。


「ワアッ、お兄ちゃん花火が上がったよぉ」


「あぁ、始まったな」


次々と打ち上がる花火を見て興奮気味に桜井君と話す未来と翔。


周りの様子を見ると、香奈も真央ちゃんや河野君と一緒に花火を見つめている。


クラスの人達も夜空に輝く花火を騒ぎながら楽しそうに見ている。


「花火、始まったね」


横に座る瀬戸君が私に話し掛けてきた。


「うん、始まったね」


「俺、水野さんと一緒に花火を見たかったから、すげぇ嬉しい」


「私も」


そう言ってニッコリ微笑む瀬戸君。


瀬戸君の王子様スマイルに、私もつられて笑顔を見せた。


視線を前に戻すと桜井君の後ろ姿が目に入った。


桜井君は今、どんな気持ちでこの花火を見ているの?


お互いに付き合ってる人がいるのに、どうして私の為にここまでしてくれるの?


ねぇ、桜井君。私のことをどう思っているの?


知りたいよ、桜井君がどう思っているのか、そうすれば私だって……。

< 192 / 297 >

この作品をシェア

pagetop