恋する5秒前~無愛想なキミと~
「なぁ、瀬戸。コイツらは俺が送ってくから」
私達の間に入ってきた桜井君。
「いいよ、桜井。彼氏の俺が送るのが当然だろ?」
ムッとした表情の瀬戸君は彼の申し出をはね除けた。
「いや、コイツらが俺と帰りたいって言うから」
桜井君にまとわりつく未来と翔。
「ねぇ、タマちゃん。未来、桜井のお兄ちゃんと一緒に帰りたいの、ダメ?」
「うーん」
私に懇願する未来。
そこまでお願いされたらダメとは言えないよ。
でも、それだと瀬戸君に悪いし、どうしたらいいの?
「だから、俺が責任持って送るって言ってんだろ。心配すんな、彼氏がいるヤツを襲うほど俺はがっついてねーから」
「な、なんだよ、それ。水野さんに失礼だろっ!」
納得がいかない様子の瀬戸君が桜井君に言われて怒ってる。
「お前ら、電車に乗って帰るぞ。水野、モタモタしてると置いてくぞ」
瀬戸君を無視した桜井君は、未来を肩車に乗せて翔と一緒に歩き始めた。
「ごめんね、瀬戸君。家に着いたらLINEするから」
その場に佇む瀬戸君を残して、私は先を歩く桜井君を追いかけた。