恋する5秒前~無愛想なキミと~

「なぁ、瀬戸。コイツらは俺が送ってくから」


私達の間に入ってきた桜井君。


「いいよ、桜井。彼氏の俺が送るのが当然だろ?」


ムッとした表情の瀬戸君は彼の申し出をはね除けた。


「いや、コイツらが俺と帰りたいって言うから」


桜井君にまとわりつく未来と翔。


「ねぇ、タマちゃん。未来、桜井のお兄ちゃんと一緒に帰りたいの、ダメ?」


「うーん」


私に懇願する未来。


そこまでお願いされたらダメとは言えないよ。


でも、それだと瀬戸君に悪いし、どうしたらいいの?


「だから、俺が責任持って送るって言ってんだろ。心配すんな、彼氏がいるヤツを襲うほど俺はがっついてねーから」


「な、なんだよ、それ。水野さんに失礼だろっ!」


納得がいかない様子の瀬戸君が桜井君に言われて怒ってる。


「お前ら、電車に乗って帰るぞ。水野、モタモタしてると置いてくぞ」


瀬戸君を無視した桜井君は、未来を肩車に乗せて翔と一緒に歩き始めた。


「ごめんね、瀬戸君。家に着いたらLINEするから」


その場に佇む瀬戸君を残して、私は先を歩く桜井君を追いかけた。


< 194 / 297 >

この作品をシェア

pagetop