恋する5秒前~無愛想なキミと~
「ウチのチームは桜井君がいるから楽勝じゃない?」
香奈はそう言いながら鼻歌を歌っている。
「でも、相手がどんなチームか分からないけど、決勝まで来るんだからそれなりに強いチームだと思うよ」
「そっか、なら私達も気合いを入れて応援しないとね」
「うん」
俄然、張り切る香奈。
相手のチームはどこのクラスなんだろう?
自分が試合に出るわけでもないのに、なんだか緊張してきちゃったよ。
「あ、ほら。相手のチームがはいってきた」
香奈に言われて視線を移すと
「なんだ、瀬戸ちゃんのクラスだよ」
バスケのコートに現れたのは瀬戸君だった。
そう言えば、瀬戸君は中学の時はバスケ部に入ってたんだ。
運動神経抜群の彼だもの、ここまで試合を引っ張ってきたのも瀬戸君なんだろうな。
桜井君と瀬戸君の対決かぁ。正直いって見たくない試合だよ。
内心、動揺していると
「ねぇ環。あんた、どっちを応援するの?」
「どっちって」
香奈から鋭い質問が飛んできた。