恋する5秒前~無愛想なキミと~
普通なら自分のクラスを応援するだろうけど、瀬戸君は私の彼氏だもの、どっちを応援するかなんて私には決められないよ。
「どっちを応援するかなんて今は決められないよ」
「そっか、環は優しいからなぁ」
私の意見に香奈は、ぼそっと呟いた。
程なくして決勝の試合を知らせる声が体育館に響き渡った。
桜井君と瀬戸君のイケメン対決の試合をひと目見ようと、体育館には大勢の生徒が集まってきた。
6割方は女子かな?
2人は女子から凄く人気があるんだなぁ。
そんな2人に挟まれて悩む私は、周りからみたら贅沢だと思われるだろうな。
自分の境遇の良さに改めて気づかされる。
「ほら、環。試合が始まるよ」
「うん」
コートの中に桜井君達が入っていって位置についた。
そして、審判がボールを高く上げると……試合が始まった。
同時に歓声が体育館いっぱいに響き渡る。
白熱した試合が繰り広げられていた。
試合は接戦に次ぐ接戦で、両者一歩も譲らない展開だ。
瀬戸君のチームが2点差のリードで試合は行われていた。