恋する5秒前~無愛想なキミと~
「ねぇ、マミ先生。タマちゃんの彼氏ってなあに?」
私のいとこ、武藤未来(むとうみく)がやって来た。
「環ちゃんと仲良しさんの人のことよ」
「仲良しさん?未来と大地君みたいなこと?」
キラキラと瞳を輝かせながらマミ先生と話す未来。
ちょっと待って、大地君って誰?
「そっかぁ、タマちゃんも仲良しさんがいるんだぁ。その人、どこにいるの?」
「ほら、あそこで待ってる人がそうだよ」
「へぇ、あの人かぁ。ちょっとカッコいいかも」
「マミ先生、変なこと教えないでくださいっ」
「大丈夫よ。未来ちゃんは環ちゃんのお友だちだと思ってるから」
「未来、ご挨拶してくるっ。マミ先生、さようなら」
「さようなら、未来ちゃん。また明日ね」
「あっ!ちょっと未来!それじゃマミ先生、失礼しますっ」
自分のカバンを置いたまま教室を飛び出して行く未来を追って、私も教室を後にした。