恋する5秒前~無愛想なキミと~
◇打ち明ける時
「そっか、環。よく、決断したね」
季節は過ぎて11月も中頃に入った昼下がり。
11月にしては暖かく、久しぶりに中庭でお弁当を食べながら香奈に自分の思っていることを素直に打ち明けた。
「うん、散々迷ったんだけど、やっぱり後悔したくなかったしね」
「でも、瀬戸ちゃんにはどうやって伝えるつもりなの?」
「うーん、問題はそこなんだよね」
そうなんだよね。
私の中で一番のネックは、瀬戸君にどうやって自分の気持ちを伝えるかってことなんだ。
どういう風に伝えたら、彼を傷つけないで済むのか、考えてもなかなか答えが出てこなくて……。
「それがね、どうやって自分の気持ちを話せばいいのか、迷ってるんだ」
「環は何を迷ってるの?」
「瀬戸君に直接会って正直に自分の気持ちを打ち明けた方がいいのか、それとも」
「それとも?」
「LINEで、付き合えないから別れたいって言うか、どうしたら瀬戸君を傷つけないで済むのかな?」
一応、私は瀬戸君の彼女な訳だけど、彼女らしいことは何一つしていない。
毎日LINEだけはしているけれど、デートも夏休みに水族館へ出掛けた一回だけだし、学校が始まっても一緒に登下校もしていない。
陰では、周りの女子達から本当に瀬戸君の彼女なのかって怪しまれてるけど、言われて仕方ないと思う。
やっぱり、自分の気持ちに嘘をついてまで付き合うのは良くないし、純粋に私の事を思ってくれている瀬戸君に対して失礼だと思うんだ。