恋する５秒前～無愛想なキミと～

「環は瀬戸君に対する気持ちはもう無いんでしょ？」


「うん、無いよ。友達としては好きだけどね」


「だったら、どっちにしても瀬戸ちゃんの心は傷つくのに変わりはないんだよ。会って正直に自分の気持ちを打ち明けた方が私は良いと思うよ」


会って正直に話した方が良いか。


そうだよね、大事な話だもの。


瀬戸君に直接会って正直に打ち明けた方が良いに決まってるよね。


「香奈の言う通り、瀬戸君に会って正直に打ち明けた方が良いよね」


「そうよぉ。LINEで一方的に気持ちを伝えて、はい、さようならってのは、後々気まずくなると私は思うけど？」


「そうだよね。ありがとう、香奈。私、瀬戸君に会って話をするよ」


「頑張って、環。なにか困ったことがあったら私に相談するんだよ」


そう言って私の頭を撫でる香奈。


「うん、ありがと。香奈」


「そろそろ、教室へ戻ろっか？」


「そうだね、戻ろうか」


制服についた芝生の枯れ葉をパタパタと払い落としながら立ち上がる。


「あ～あ、こんなに良いお天気だから、このままどこか遊びに行きたいよねぇ」


二人でくだらない話をしながら校舎の中へと入って行く。


やっと、決心がついたよ。


これで、新たな一歩が踏み出せるんだ。


例え、結果が思わしくなくても、自分で決めたことだもの、正々堂々とぶつかっていくしかないんだ。