恋する5秒前~無愛想なキミと~
「でも、好きな人がいるって分かっていたのに、どうして瀬戸君は私に告白してきたの?」
私の場合は望みがないって分かった時点で諦めたのに、彼はどうしてそこまで出来たんだろう?
「それは、後悔したくなかったから」
「後悔したくなかったって、告白して振られるって分かっていても?」
振られるのが分かっていれば告白なんてしないよ。これ以上ショックを受けたくないもん。
「まあね、ウジウジ悩んでいるより、コクってあっさり振られた方が悔いが残らないんじゃないかって考えたからさ」
「悔いが残らない……?」
「後になって、あの時ああしていれば良かったとか、こうしていれば良かったとか、後悔するときがあるだろ?」
「うん、あるよね」
「だろ?だから、ダメ元で水野さんに告白したって訳」
「そっか、そうだったんだ。凄いな瀬戸君」
「俺はそんなに凄くないよ。ただ、水野さんの事が好きだったから告白しただけのことだし」
照れ笑いをしながら話す瀬戸君。
「だから、OKの返事を貰ってびっくりしたけど、凄く嬉しかった。けど、桜井となにかあったのかって心配になったよ。でも、余計なことを聞いて水野さんの気持ちが変わるかもしれないって思ったら、怖くて聞けなくてさ」
「瀬戸君」
私の事をそんなに思ってくれていたなんて素直に嬉しい。
でも、その彼をあっさりと振ってしまう私はやっぱり薄情なのかな?