恋する5秒前~無愛想なキミと~
私は教室に入ると、自分の席に座り、先生の話もろくに聞かずにこれからの事をずっと考えていた。
「今日はこれで終わりだ、また来年、会おう。皆、気をつけて帰れよ」
担任の先生の声でハッと我に返った私。
周りを見ると、カバンを持ち教室を出て行く人が何人もいて私は焦ってしまった。
桜井君、部活へ行っちゃったかな?
席を確認すると桜井君の姿は見当たらない。
私がボーッとしてる間に行っちゃったんだ。
仕方ない。
今回は諦めて家に帰ろうかな?
夕方には未来と翔のお迎えにも行かなきゃいけないんだし。
早く帰ってあの子達がいない内に家の片づけでもしようかな?
ガックリと肩を落として、落ち込む私はカバンに筆記用具を入れると、椅子から立ち上がった。
教室から出ると
「水野、ちょっといいか?」
私に声を掛けてきたのは、
「……桜井君!」
ずっと探していた人だった。