恋する5秒前~無愛想なキミと~
「何?」
もしかしたら、これはチャンスなのかもしれない。
「ここじゃ目立つから、ちょっと来て欲しいんだけど?」
周りの様子を伺いながら声を落として話す桜井君に私は黙って頷いた。
先を歩く桜井君の後を付いていく私。
いったいどこまで行く気なの?
渡廊下を歩き隣の棟へとやって来た。
そこから階段を上がって行くと、見覚えのある部屋が見えてきた。
「ここでいいか」
独り言を言いながら桜井君が立ち止まったのは図書室の前。
「悪いな、水野。ここまで来て貰ってさ」
「ううん、大丈夫だよ。それより、私に用があるんでしょ?なにかな?」
誰にも見られたくないことなんだよね?
何の用があるんだろう?
内心、ドキドキしながら待っていると
「これ、未来に渡して欲しいんだけど」
「えっ、これを?」
私の目の前に差し出されたのは、1通の真っ白な封筒だった。