恋する5秒前~無愛想なキミと~
この手紙を渡すときの桜井君の表情、初めて見たなぁ。
少しだけ頬を赤くして、照れていたみたい。
桜井君、こんな顔もするんだぁって思いながら手紙を受け取ったんだ。
それにしても、この手紙、何が書いてあるのかな?
未来に返事を書いたって言ってたけど。
桜井君、なんて書いたのかなぁ。
気になる、物凄く気になる。
…………そうだ!
読んでそっと元に戻せばいいんだよ。
未来はまだ小さいんだもの、そこまで気づかないよ。
でも……。
いくら未来宛の手紙でも、本人に断りもなく、勝手に読んだりしたらマズイよね?
未来から読んでって頼まれるまで待つしかないのかなぁ?
読みたい衝動に刈られたけれど、何とか抑えることができた私。
ふう、危うく卑怯なマネをするところだったよ、危ない、危ない。
さてと、気持ちを切り替えなくちゃ!
私も早く家へ帰ろう。
教室まで戻る廊下を歩きながら考えていた。
今回はダメだったから家に帰って新たな作戦を立てなくちゃ!
自分のモチベーションが下がる前に告白しないとなぁ。
ふと頭の中に浮かんだ王子様スマイル。
「頑張れよ。良い返事が貰えるといいな」
自分の気持ちを抑えて優しい笑顔で送り出してくれた瀬戸君。
優し過ぎる彼を振ってまで桜井君に告白すると宣言したんだもの、実行しなくちゃ!