恋する5秒前~無愛想なキミと~

「ねぇ、タマちゃんの彼氏さんってカッコいいねぇ」


私が来たことに先に気づいたのは未来だった。


「み、未来!変なこと言わないのっ。彼氏じゃなくてお友だちなのっ」


おもいっきり否定したら


「えぇ~っ!そうなのぉ?タマちゃんの彼氏じゃないんだぁ。もったいない」


もったいないって……。


近頃の保育園児はマセてるよ。


私達のやり取りを呆気に取られた様子で眺めてる彼に


「桜井君、ごめんね。この子、私が男子と一緒にいるだけで、彼氏だって騒ぐだけだから、気にしないで、ね?」


「えぇ~っ、未来、タマちゃんの彼氏さんだったらいいなと思って言っただけなのにな」


私は膨れっ面で口答えする未来の頭を撫でながら


「子どもの言うことだし特に深い意味はないから、気分悪くしたらごめんね」


とりあえず謝っておいた。すると


「別にそんなこと気にしてねぇし、つか、水野」


「なに?」


「男と一緒にいるって言ってたけど、それってどういう意味なんだよ?」


桜井君、急にどうしたの?


さっきまでの穏和な表情はガラリと変わり、険しい顔つきで私に迫ってきた。

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