恋する5秒前~無愛想なキミと~
「未来がこの手紙を水野に読んでもらってもいいってさ」
「そう、読んでみるよ」
桜井君に促されて封筒から手紙を取り出すと、私は目を通し始めた。
「桜井のお兄ちゃんへ
みくのお家にあそびに来てくれてありがとうございます。
たのしかったです。
タマちゃんの作ったチャーハンもいっしょに食べてうれしかったです。
お兄ちゃんはタマちゃんのことをどう思いますか?
すきですか?
きらいですか?
タマちゃんはやさしくてわたしも翔くんもだいすきです。
わたしも翔くんも、お兄ちゃんがタマちゃんのかれしになってくれたらいいなと思ってます。
お兄ちゃんのへんじをまっています。
みく、翔」
そんなことが書いてあったんだ!
しばらくの間呆然とする私に桜井君が声を掛けてきた。
「俺、手紙をもらうのこれが初めてでさ、小さな女の子からもらうの初めてだし最初は冗談かと思ったけどさ」
「そ、そうだよね。小さな子から手紙をもらうなんて私も経験したことないもの」
「けどさ、家に帰ってこの手紙を読んだとき思ったんだ」
「どう思ったの?」
桜井君は頭をクシャクシャッと掻いて、ひとつため息を吐いてから口を開いた。