恋する5秒前~無愛想なキミと~
「こんなことして、次会った時、どうなっても知らねぇからな!」
「えぇっ!」
逆に桜井君に抱き締められてしまった。
そして
「好きだ、環。俺と付き合って欲しいんだけど?」
耳元で囁く低く響く声はいつもの桜井君だ。
「はい、よろしくお願いします」
返事をするとお互いに体を離して見つめ合う。
「環……」
「桜井君……」
段々と距離が縮まり後少しで唇が触れあうところで
「ごめんねぇ、支度が遅くなっちゃって、ってあらっ!ごめんっ」
タイミングがいいのか、悪いのか、玄関のドアが開いて里美ちゃんが出てきた。
「いや、大丈夫ですっ!」
「だ、大丈夫。待ってないからっ!」
テレる桜井君と焦る私。
「ごめんね、良いところだったのに邪魔をしちゃったみたいねぇ、さぁ、桜井君駅まで送るから車に乗って!」
「じゃあな、環。また連絡するから」
「うん、明日の試合、頑張ってね!」
桜井君を乗せた車を見送り見えなくなるまで手を振った。