恋する5秒前~無愛想なキミと~
*初めてのデート

「えぇっ!あんたたち、まだキスもしていないのぉ?」


ここはケーキが美味しいカフェの中。


学校帰りに、久しぶりに香奈とお茶をしにやって来た。


香奈に桜井君との事を聞かれて、悩みを打ち明けたのはいいけれど、彼女もびっくりしているみたい。


「ちょっと香奈、声が大きいよ」


周りのお客さん達が私達のことを見ながら、なにやら話をしている。


私は顔をしかめて香奈に注意をすると


「あっ!ごめん。お店の中だってこと忘れてた、アハハ」


香奈は悪びれることもなく、あっけらかんとしている。


「もう、香奈ったら、気をつけてよ」


「はい、はい。気をつけますって、ねぇ、環」


「なに?」


「その話って本当なの?」


「その話って?」


「だから、まだしてないって話よ!」


「うん、そうなんだよねぇ」


私に注意され、声を潜めて話す香奈に私は頷いた。

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