恋する5秒前~無愛想なキミと~

「ねぇ、香奈」


「なに、環」


「私って女子力足りないと思う?」


「じょ、女子力?……ってわあっ!」


珈琲カップを倒しそうになって慌てる香奈。


「大丈夫?」


「あぁ、うん。平気、平気。ってか環が変なこと言うからカップを倒すところだったよ」


「ご、ごめん」


香奈は、危ない、危ないなんて言いながら、こぼれた珈琲を紙ナプキンで拭いている。


「でも、環はさ、どうしてそんなことを聞くわけ?」


「えっ、どうしてって、さっきも言ったじゃない。桜井君とはカレカノらしいことはなにもないんだよ」


桜井君は、私に女の子としての魅力を感じてないのかなぁ?


「そうね、環はゴキも平気でやっつけるからじゃないの?桜井君にゴキを倒すところ見られたんでしょ?」


「うん、そうだけど」


相変わらず香奈は、痛いところを突いてくるなぁ。


あの時も桜井君は私の顔を見て吹き出してたもん。


女の子として見られていないのかなぁ?


やっと思いが通じたのに、付き合いだしたら、また新たな悩みが生まれてくる。


いつになったら心穏やかな暮らしができるのかなぁ?

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