恋する5秒前~無愛想なキミと~

「ねぇ、あんたと付き合う時の桜井君ってどんな感じなの?」


興味津々な様子の香奈は身を乗り出すようにして聞いてくる。


「どんな感じって聞かれてもねぇ……うーん、そうだなぁ。あまり変わらないかなぁ」


「そうなのぉ?」


驚く香奈は冷めてしまった珈琲をひと口飲んだ。


「うん。2人きりになってもラブラブという感じじゃないんだよね」


「ふーん、そうなんだ」


そう、桜井君は私と二人きりになっても特別に甘い言葉も言うわけでもないし、無愛想だし、話し方も相変わらずぶっきらぼうなんだよね。


どう見ても恋人らしくない私達。


こんなことを聞いて香奈はどうするんだろう?


「私さ、今日見ちゃったんだよねぇ」


思い出したのか、ウフフと声を出して笑う香奈。


「見たって何が?」


見ちゃったなんて言われたら、気になるじゃない。


香奈が落ち着くまで、待っていると


「今日の休み時間、山崎君と話してたでしょ?」


香奈は落ち着いたのか、私に聞いてきた。


「山崎君と?あっ、そうそう、学校の近くにコンビニができて山崎君が行って来たみたいだよ」


隣の席の山崎君とは何故か話が合うみたいで、休み時間に時々話をしているんだ。


人当たりのいい山崎君は何でも知っていて、物知り博士なんて呼ばれてる。


山崎君の話しは面白いから、つい話し込んじゃうんだ。

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