恋する5秒前~無愛想なキミと~


これ以上桜井君を振り回すのは、いくらなんでも悪いよね。


「ここから5分くらいで着くところなんだけど、桜井君、もし帰りたいんだったら、帰っていいよ」


「俺、帰るなんて一言も言ってねぇし、つか、早く行くぞ」


桜井君、急に不機嫌になっちゃった。


私、何か失礼なことを言ったのかな?


桜井君の顔色を伺うと、いつもの無愛想な表情だから、怒っているのか分からない。


「未来、お兄ちゃんと手を繋ぎたい、ねぇ、いいでしょ?」


突然、未来が桜井君の手を取ると、ニコッと笑顔を見せた。


彼と手を繋ぎ、うれしいのかハイテンションではしゃぎまくる未来。


くっそー、未来め!


いつのまにか桜井君と手を繋いだりして、まだ5歳のくせに、そんな言葉どこで覚えたんだ?


私だって「手を繋ぎたいの」って言いながら可愛くおねだりしてみたい。


まあ、でも、私の場合は桜井君に睨まれて終わりだな、多分。


そんなくだらない妄想をしていると。

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