恋する5秒前~無愛想なキミと~
駅のホームに着いて、桜井君に聞き返した。
「その日、部活が休みなんだよ。だから、お前とどこか出掛けたいんだけど、家を空けられるか?」
私の家の事情を知る桜井君は、気を使って聞いてくれたんだ。
「そうなんだ、でも家に帰らないと予定は分からないなぁ。帰ったら連絡するから、それでいい?」
「おう、LINEで送ってくれればいいから」
「うん」
家に帰ってお母さんと里美ちゃんの仕事のスケジュールを確認しないと、未来達を一緒に連れて行くことになる。
できれば、桜井君と二人きりで出掛けたいな。
「もし、出掛けられるとしたら、環はどこへ行きたい?」
電車に乗り込み、ドアの近くに立つと桜井君がどうしたいのか聞いてきた。
「うーん、どこがいいかなぁ?」
デートスポットを頭の中で浮かべてみる。
水族館は瀬戸君と一緒に行ったから、ダメでしょ?
遊園地も入場料が高いから、無理そう。
映画なら、そんなにお金も掛からないし、ちょうど見たいと思ってた映画がやっているんだよね。