恋する５秒前～無愛想なキミと～

「この時間でいいか？」


桜井君が確認してきたのは、上映まであと15分の時刻。


「うん、それでいいよ」


ＯＫすると桜井君はチケット売場のお姉さんとやり取りをしてチケットを買ってくれた。


「桜井君、はい。チケット代」


財布から取り出してお金を渡そうとしたら


「今日はいらない。その代わり何か飲み物でも買ってくれ」


「えっ？」


「でも、そんな。桜井君に出してもらうわけには」


「いいから、気にすんな。早くジュース買うぞ。俺、コーラでいいから」


桜井君はそう言ってお金を受け取ってはくれなかった。


「じゃあ、飲み物買ってくるから待ってて！」


「あぁ」


桜井君をその場に残して売店まで急ぐ。


上映開始まであと10分ほど。早く買わなくちゃ。


混んでいたわりには、意外とすんなり買うことができて、ジュースとポップコーンを乗せたトレーを持って桜井君のところまで戻っていくと……。