恋する5秒前~無愛想なキミと~
あれ?
見かけない顔だけど、あの子達はいったい誰なのかな?
見知らぬ女の子二人組が桜井君と何やら話していた。
彼女達に笑顔を見せる桜井君は、とても楽しそうに話していた。
桜井君ってあんな風にも笑うんだ。初めて見たな。
今まで見たこともない表情に私の胸はズキンと痛んだ。
桜井君、あの子達と相当仲がいいのかな?
リラックスした様子で話していて、私が来たことにも気づいていない。
そりゃ、そうだよね。
見た目も冴えない私だもの。気づいてくれないよね。
どうしようかな?こう言うときは私から話し掛けた方がいいのかな?
トレーを持ったままその場で立ち尽くしていると
「あれ?あの子」
「なに、なに?どうしたの?」
一人の女の子が私の存在に気づいたのか、もう一人の女の子に声を掛けた。
すると
「水野、遅かったな」
桜井君が気づいて私に声を掛けたんだ。
今更気づくなんて遅すぎるでしょっ!
心の中で悪態をついていたけど
「あ、うん。売店が混んでたから遅くなっちゃった、アハハ」
適当に言うと笑ってごまかした。