恋する5秒前~無愛想なキミと~

「なんで、そんなに驚くんだよ?」


「だって、樹里は隼人と付き合ってたじゃない。私、お似合いのカップルだと思ってたのに。それなのに、門倉って」


納得できない様子のまどかさん。


「樹里の方が賢司にベタぼれなんだよ。それに、俺と樹里は3日で別れたから付き合ったうちに入んねーよ」


「樹里の方が……」


「ほら、まどか。ボーッとしてないで。映画始まるから行こうよ」


高野さんに言われて我に返るまどかさん。


彼女にとってよっぽど衝撃的な話だったみたい。


「それじゃ、水野さん。邪魔しちゃってごめんね!またね、隼人」


「あぁ、またな」


まどかさんの手を引きながら高野さんは行ってしまった。


「なんだよ、もうすぐ始まる時間だな。行こう、水野」


私からトレーを取り上げると先を歩く桜井君。


「あっ、いいよ。私が持つから」


「いいって、俺が持つから」


私達も慌てて移動したんだ。

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