恋する5秒前~無愛想なキミと~
「タマちゃん!早く行くよぉ!」
「水野、置いてくぞ」
先を歩いていた未来と桜井君が立ち止まって私が来るのを待っていた。
「待ってぇ、いま行く」
名前を呼ばれてハッと我に返った私は、2人が待つところまで走って行った。
保育園から出て歩くこと数分、着いたところは……。
「学童……保育?」
「うん。そう学童保育だよ」
小学校の空き教室に作られた学童保育。
「俺、学童保育って初めて来たな」
桜井君は教室の入り口に佇んで、物珍しそうにあちこち眺めていた。
「弟を呼んでくるから、ちょっと待ってて!」
「おぅ」
桜井君は短く返事をすると、未来と水槽の中で泳ぐメダカを眺めていた。