恋する5秒前~無愛想なキミと~
「ごちそうさん。俺、そろそろ帰るから」
桜井君が自分のカバンを持って立ち上がった。
リビングの壁時計で時間を確認すると、もうすぐ7時半になるところ。
長い時間、彼を引き止めちゃったんだ。
「こんなに遅くまで引き止めちゃってごめんね」
「いや、俺の方こそ、こんな時間までいて悪かったな」
桜井君と一緒に玄関へ向かう。
「お兄ちゃん、また未来と遊ぼうね」
「ねぇ、お兄ちゃん。今度は俺とゲームしようぜ!」
「おう。今度ゲームやろうな」
後からやって来た翔と未来の頭を撫でる桜井君。
彼の学校では見せない柔らかな表情はレア物だよ。
3人の光景を眺めていると
「水野、ちゃんと湿布を貼り変えておけよ」
「えっ!あ……うん」
桜井君、まだ足のこと気にしてくれてたんだ。
彼に言われてハッと我に返った私はうなずいた。