恋する5秒前~無愛想なキミと~

「ごめん、瀬戸君。話しはまた今度でいいかな?」


呆然としている王子様に謝ると


「ん?あぁ。また今度な」


苦笑しながら頷いてくれた。


「じゃあ、先生に呼ばれてるから行くねっ」


職員室へ行こうと向きをクルリと変えたら


「そっちじゃねぇって、ほら、行くぞ」


「えっ?」


桜井君は私の腕を掴むと職員室とは逆方向へスタスタと歩き出した。


ノッポの桜井君の歩幅と、チビの私の歩幅は明らかに差がある。


彼が2歩歩くのに対して、私は4歩と倍歩く。


もう少し私に合わせて歩いてもらえないかなぁ。桜井君、歩くスピードが早いよ。


先生の姿が見つからない。もしかしてすれ違ったとか?不安になった私は


「ねぇ、桜井君。岡ちゃんはどこにいるの?」


私の声が聞こえてないのか、桜井君は黙ったまま歩き続けてる。


「ここは……」


着いたところは階段の踊り場だ。
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