恋する5秒前~無愛想なキミと~
「……未来もイヤな気持ちになると思う」
「そうだよね、イヤな気持ちになるよね。だからさ明日、保育園へ行ったらユイちゃんにごめんねって謝るんだよ」
「うん。ユイちゃんにごめんねってする」
未来に言い聞かせながら桜井君のことを思い出していた。
ー桜井君には関係ないでしょー
私もあんな風に言って彼を怒らせちゃったから、ちゃんと謝らなきゃ。
謝ったら許してくれるかな?
「うん。分かったから、さあ翔を迎えに行くよ」
「うん」
私達は再び歩き出した。
季節は7月に入り、まだ梅雨明けはしていないものの、蒸し暑さだけが増してきた。
桜井君と和解するチャンスを伺ってたんだけど、なかなか思う通りにはいかない。
今日も朝から挨拶をしようと試みても、彼の周りにはいつも誰かしら人がいて話し掛けられない。
今朝もダメだったなぁ。
臆病な自分に嫌気が差していた。