恋する5秒前~無愛想なキミと~
「うーん。なんとなく……?」
「なんとなくって」
「特に深い意味はないよ。さあ、香奈、早くカレー食べよう。お昼休み終わっちゃうよ」
「あっ、ホントだ。環、急ぐよ」
私たちは、冷めてしまった食堂自慢のカレーライスを慌てて口に運んだ。
香奈の前ではなんとなくって言ったけど、本当はかなり気になるんだ。
教室で見掛ける度に思ってた。
桜井君の笑った顔、一度も見たことがないよ。