恋する5秒前~無愛想なキミと~
チーズケーキの甘しょっぱい味は、今の私の心境と似ている。
この甘いような塩辛いような複雑な味。
私が桜井君に対する思いと、なんとなく似ているんだ。
声を掛けられるだけで嬉しくなったり、噂話を聞くだけで落ちこんだり。
私の心はまるでジェットコースターみたいに忙しい。
登ったかと思うと急に下がったり、左右に思いきり振られたりと自分の感情に振り回されてる。
中学のとき先輩に片想いをしていたときとは全然違う、この感情はいったい何なのか?
自分で解決すると言った手前、この気持ちが何なのか分からないと前へは進めないんだ。
「ねぇ、環」
「えっ、あっ、なに?」
「噂通りだったね」
噂と聞いて胸がドキンとひとつ鳴った。
一瞬、桜井君の顔が浮かんだよ。
「噂通りって何が?」
首をかしげる私に