恋する5秒前~無愛想なキミと~

「いただきます!」


大きく口を開けてケーキを頬張る二人はとても満足そうな顔をしている。


「このケーキ、美味しいね。環、このお店はどこにあるの?」


里美ちゃんがケーキを食べる度に美味しいを連発していた。


「未来の保育園の近くに新しくカフェができたでしょ?」


「そうなの?私、気づかなかったな」


いいお店を見つけたねと里美ちゃんに褒められた。


「そこのお店はね、持ち帰り専用のケーキも置いてあるんだよ。今日は香奈とチーズケーキを食べてきたんだ」


「ええっ?姉ちゃん、今日は2個もケーキを食べたのかよ、ズルいぞ」


甘いものが大好きな翔は頬を膨らませている。


「ケーキくらい食べても、たまにはいいでしょ。ちょっとした自分へのご褒美よ、ご褒美」


こんなご褒美は滅多にないよ。


このロールケーキも生クリームがしつこくないし、甘さ控えめで美味しいな。


これならロールケーキ丸ごと一本食べられるかも。


至福の時間を味わっていると


「はい。タマちゃん、これ」


未来が私の前に差し出してきたのは可愛らしいウサギの絵が描かれた封筒だ。
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