恋する5秒前~無愛想なキミと~
もうっ、先生ったら。
容赦なく扱き使うんだから、危なくお迎えに間に合わないところだったよ。
先生から用事を頼まれ、なんとか済ませて教室へ戻ってきた私は、帰支度をしていた。
カバンの中に教科書やノートを放り込む。
今日の宿題の英語のノート、カバンの中へ入れたよね。
焦るとろくなことが起きない。入れたかどうか、もう一度確かめみよう。
カバンの中を漁っていたそのときに、
ガラリーー。
突然、教室のドアが音をたてながら開いた。
そして中へ入ってきたのは
桜井君だった。
あわわ、どうしよう?桜井君だ。
びっくりした私はその場で一瞬固まった。
カバンの中から見えるウサギ柄の封筒。
そうだ!
未来から頼まれているんだ。このお手紙を桜井君へ渡さなくちゃ!
今、まさに桜井君と私だけの二人きり。