恋する5秒前~無愛想なキミと~
チャンス到来!
頭の中にそんな言葉が浮かんできた。
桜井君は自分の席へ移動すると、机の中をガサゴソと漁っていた。
私は急いで彼の元へ近づくと
「桜井君、ちょっといいかな?」
「あ……なに?」
「この手紙、読んで欲しいんだけど」
「えっ?手紙……?」
そう言いながら未来から預かった封筒を差し出した。
訝しげな表情をしながらさしだされた封筒を受け取る桜井君。
「この手紙、お前が書いたの?」
「……えっと、あっ、あの。それは私じゃなくて、その……従姉妹の未来からなの」
シドロモドロになって答える私。
「未来って、お前んとこのあのチビか?」
「そうなの。桜井君へ渡してって頼まれてたから。お家へ帰ってから読んで欲しいんだって」
「ふーん、そっか……分かった」
封筒をマジマジと見つめながら返信をする桜井君。
素っ気ない態度はいつもと変わらない。