恋する5秒前~無愛想なキミと~

「ヤベッ、呼びに来たっ。悪い、水野」


「あっ、うん」


桜井君は封筒を制服のポケットへしまうと、机の中からノートを取り出すと教室を飛び出した。


その一部始終を呆気に取られながら見ていた私。


せっかくのチャンスだったのに。高森さんとのこと聞けなかったな。


噂話では、高森さんが桜井君に一目惚れをして無理矢理バスケ部のマネジャーになったらしい。


そして3年生の先輩方を差し置いて、桜井君専属のマネジャーとして甲斐甲斐しく世話をしているとか。


陽子ちゃん情報はどこまで本当なのかあてにはならないからね。


高森さんの身勝手な行動に先生や先輩方も困っている様子で、桜井君も肩身が狭い思いをしているとか。


でも、去年のミスコンで優勝するほどの美人だからか、誰も彼女に注意する人はいないらしい。


やっぱり、美人は何をしても得なんだよね。


結局、行き着く答えはそこなんだなぁ。


あ~あ、私も美人に生まれたかったなぁ。


私はため息をつきながら自分のカバンを持って誰もいない教室を後にした。


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