恋する5秒前~無愛想なキミと~

「そっか、良かった。心配して損したな」


急に笑顔になる瀬戸くん。


「良かったって、なにが?」


状況が飲み込めずにいる私。


瀬戸くんはフウッとひと息付くと私に視線を合わせてから口を開いた。


「水野さん、俺、1年の時からずっと好きでしたっ。俺と付き合ってくださいっ!」


普段より大きな声で言うから、女子だけじゃなく、男子達にも聞こえたのか、クラス皆の視線が一気に集まった。


「きゃあっ!ウソでしょ」


「なんだよ、瀬戸ちゃん。公開告白かよぉ」


「瀬戸くん、水野さんの事が好きだったのぉ?」


同情に響く絶叫。


「水野さん、俺の言ったことちゃんと聞いてた?」


絶叫がこだまする中で瀬戸くんは心配そうな顔をして聞いてきた。


えぇ、えぇ。ちゃんと聞こえてましたよ。


まさか、まさかの告白。


瀬戸くんは香奈のことが好きなんだとばかり思い込んでたから、まさか私のことが好きだったとは……気がつかなかった。


私はびっくりして首肯くだけで精一杯。

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