恋する5秒前~無愛想なキミと~
あまりの騒ぎに他のクラス人達が次々と押しかけてきて、教室の中はとんでもないことになっていた。
落胆して泣いてる女子。
興奮ぎみに他のクラスの人に説明する人。
この騒ぎに便乗して訳の分からないことを叫んでる人。
さっきまで暑くてバテていたのが嘘のように騒いでる。
そんな中、
「おいっ!隼人っ。どこ行くんだよっ!」
桜井君の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。
桜井君、教室の中にいたんだ。
気がつかなかったな。
ってことは、瀬戸君の告白を聞いてたってこと?
どうしよう?桜井君に見られちゃった。
頭の中はパニクって今にも破裂しそう。
どうしようという言葉だけが頭の中をグルグルと回っている。
教室の入り口に目をやると桜井君が出ていくところで、その後を相田君が追いかけていく。
「返事はすぐじゃなくてもいいからさ、俺とのこと、考えて欲しいんだけど」
「……返事?」
瀬戸君の声にハッと我に返った。