恋する5秒前~無愛想なキミと~
◇揺れる心

「お、おはよう。もう、学校へ来てるなんて早いね。もしかして部活の朝練とかあるの?」


面と向かって桜井君と話すのは久しぶり。


緊張して声が上ずってしまう。


しばらくの沈黙の後


「部活の朝練はねぇよ。毎日、早く来てここで寝てるだけだし」


「そ、そう」


ひと言返すだけで精一杯の私は、桜井君の顔も直視できないでいた。


二人の間に気不味い空気が漂っているのは嫌でもよく分かる。


昨日の瀬戸君の告白は桜井君も聞いていたのかな?


この際だから聞いてみる?でも、この状況だと聞きずらいな。


「あっ!桜……」


迷っているうちに、桜井君は椅子からサッと立ち上がると何も言わずに教室を出て行ってしまった。


桜井君、行っちゃった。


未来が書いた手紙を桜井君へ渡してからは、話したことは一度もない。


だからいつもより緊張した私の姿を見て話すのを止めたのかな。

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