世界はまだ君を知らない
「ん、美味い」
「ほ、本当ですか!?」
「あぁ。千川、いい嫁さんになるんじゃないか?」
よ、嫁!?
思った以上の褒め言葉に、ボッと顔が赤くなる。
いや、別に仁科さんの嫁にって意味ではないけど……!でもそんな褒められ方をすると、嬉しいやら恥ずかしいやらで照れてしまう。
自分でも食べてみるけれど、ドキドキしすぎてうまく味がわからない。
……不思議、だなぁ。こうして仁科さんと、ふたりでごはんを食べるなんて。
だけど、嬉しいと感じてる。
一緒にいられる。自分が作ったごはんを『美味い』と食べてくれる。
それが嬉しくて、幸せで、彼は明るい気持ちばかりを与えてくれるんだ。