世界はまだ君を知らない



「ん、美味い」

「ほ、本当ですか!?」

「あぁ。千川、いい嫁さんになるんじゃないか?」



よ、嫁!?

思った以上の褒め言葉に、ボッと顔が赤くなる。



いや、別に仁科さんの嫁にって意味ではないけど……!でもそんな褒められ方をすると、嬉しいやら恥ずかしいやらで照れてしまう。

自分でも食べてみるけれど、ドキドキしすぎてうまく味がわからない。



……不思議、だなぁ。こうして仁科さんと、ふたりでごはんを食べるなんて。



だけど、嬉しいと感じてる。

一緒にいられる。自分が作ったごはんを『美味い』と食べてくれる。

それが嬉しくて、幸せで、彼は明るい気持ちばかりを与えてくれるんだ。





< 115 / 209 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop