世界はまだ君を知らない
って、私なにひとりで顔赤くしているんだか……!
そんな自分が恥ずかしくて、余計に頬が赤くなる。
すると仁科さんは、私の顔をのぞきこみ、ふっと笑みをこぼした。
「真っ赤だな、顔」
「え!?こ、これは、その……」
あぁ、もう、なんて誤魔化せばいいのかわからない……!
そう必死に言葉をつくろおうと頭を悩ませていると、仁科さんはポン、と私の頭をなでた。
「かわいいよ」
そしてそのひと言を小さくささやいて、その場をあとにした。
か、かわいいって……。
たったひと言、小さな言葉。
だけどこの胸を揺らすには充分すぎて、いっそうドキドキと心臓がうるさくなる。
これを恋と呼ぶのなら。
私はきっと、彼のことを。