世界はまだ君を知らない




「あっ、翠くん!こっちこっち!」



倉庫へやって来ると、そこで商品の梱包準備をしていた松さんと梅田さんが出迎える。



「松さん、おはようございます。梅田さんもおはよう」

「おはようございまぁーす」

「このマットレス、午前中に出荷してほしいっていうから梱包手伝ってほしくて。梅田さんは伝票記入と送り状記入ね」



松さんの指示に私と梅田さんは頷くと、倉庫内でそれぞれに動き始める。

すると、梅田さんは伝票を手にしたところで思い出したように口をひらいた。



「そういえば、今友達が合コンのメンバー集めてるんですけどぉ。ふたりいきませんかぁ?あ、私は彼がいるんで行きませんけど」



時折ある、梅田さんからの合コンの誘い。

それは梅田さんがメインで進めている話だったり、梅田さんの友達の話だったりとその時によってそれぞれだけれど、その度に私たちにも一応声をかけてくれるのだ。

時々話に乗る松さんは、今回は苦笑いで渋る。


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