世界はまだ君を知らない
「仁科さん?どうかしました?」
あれ?いきなりどうしたのかな?
そう顔を覗き込むと、その頬は赤く、彼が照れていることに気づく。
「……そういう言われ方は、慣れてない」
見られまいと必死に目をそらして、頬を赤らめる。そんな顔はどこかかわいらしく、この心をくすぐった。
こうしてまたひとつ、初めて知る表情が増えていく。
その度胸はときめいて、甘い感情であふれていく。
一歩、また一歩と近づく、この距離が嬉しくて愛しい。