世界はまだ君を知らない



「大丈夫か?なにかされたりしてないか?」

「あ……はい、大丈夫です。けど、仁科さんどうしてここに?」

「店にスマホを忘れてな。明日休みだからそのままにもしておけないし、取りに来た」



話しながら、抱き寄せたままだった手を離す。

その手からなにげなく顔を上げると、よくよく見れば彼の左頬は赤く腫れてしまっていることに気づいた。



「えっ……に、仁科さん!どうしたんですか!?」

「なにがだ?」

「頬!腫れてます!とにかく冷やさないとっ……」



なぜ彼の頬が腫れているのかはわからない。けど、とりあえずまずは冷やそう。

そう思い、話もそこそこに私と仁科さんは一度お店へ戻ることにした。




< 94 / 209 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop