浮気、されても好きだなんて。



え、何が起きたの?



視界が黒くなって、君の香りでいっぱいになって、ああ、そうか、抱きしめられたんだ。

でも、なんで? 突然すぎる。





耳元で、君の泣く声がする。





「ごめん、俺が全部悪かったんだ。



こんなに君が、俺のことを思ってくれてたなんて、今更ながら、実感した。


そして、罪悪感しかない。



抱きしめたら、こんなに小さいのに温かくて、抱きしめるだけで、癒されるなんて、とっくに気がついていたはずなのに。


俺は馬鹿だな。こうしているだけで、本当に安心するし、こんなに愛しく思えて、こんなにも癒されて。


そんな存在が一番近くにいたのに、いつの間にか忘れていたのか。」





こんな言葉は、嬉しいけど、耳元で囁かれるからたまったもんじゃない。



「ちょ、ちょっと……、離して……?」



私にも、限界というものがある。




「……なんで…?


まだ、こうしてたい。」




なんでこんなに甘くなるの?


嬉しい、けど……なんか、怖い。





「あの、お願い……

そろそろ、その、恥ずかしくて……」




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