きみのためのプレゼント
「私ね、目標が出来たって言ったでしょ?この手帳を返すこと。それが私の目標。だからそのためにリハビリも行くようになったし、車椅子も自分で動かす練習をしているんだ」


「本当に沙織にはかなわないな。すごいよ。まさか返すために、それを持つなんてさ」


「私、元々すごい負けず嫌いだし、本当にリハビリ、楽しいの。もちろん落ち込むこともあるけれど、出来ないことが出来るようになると本当に嬉しい。翔平は?翔平こそ、ずっと気にしてたけど、元に戻らなくて罪悪感みたいなもの持ったりしない?私と対等になれる?」


私の言葉に翔平はスクッと立ち上がり、私の目の前に立った。私が彼を見ようと見上げるとそこには決意を込めた力強い眼差し。


「俺、もしかしたら誰よりもその足を障害だと思っていたかもしれない。沙織には必ず俺がついていなくちゃいけない。そう思っていた。だから自分が入れ替わってから一度も自分のことを優先したこともなかったし、自分のことを考えたこともなかった」


「そうだね。私もそう思うよ。でも、変わったってことでしょ?」
< 129 / 141 >

この作品をシェア

pagetop